2002年から、父が作ってくれた会社を、兄と経営していたんだけど、僕のわがままで、飛び出した。それから3年間は、なんとかなると思って、なんでもやってみたけど、うまくいかなかった。小さい子供と、そんな僕についてきてくれている妻がいたのに…。 なんでもやってみたけど、一つだけやらなったことがある。 それは…兄の会社と同業の仕事。店舗や、マンションの内装工事の仕事。 僕のプライドだったと思う。
そんな時、2009年の終わりころに、妻がある人から聞いてきた言葉が僕に刺さった。
「やりたいこと、やったらいいのよ。誰にも怒られたりしないから。」 僕は、ハッとした。 何にこだわっていたんだろう。僕が一番大切なのは家族なんだ。 ちっぽけなプライドとかではなく、できることを自分の中から見つけて、それを売って お金を稼がないと！ って、思った瞬間、会社を作ることに決めた。 （株）サロウド・プロジェクトを作ることにきめた。
でも、その時には、お金も、信用も、友人もすっかりなくなっていた。
僕は、いてもたってもいられなかった。
速攻で、銀行に相談に行った。かろうじて面識のあった、僕と同じ年の融資課長に会いに。 僕は、恥もプライドも捨てて、あらいざらい吐き出して、絶対に会社を作りたいということを話した。必死だった。
黙って僕の話を聞いていた、向かいに座る精悍な顔立ちの融資課長がこう言った。
「ここではこれ以上話せないので、別の日に、別の場所で話しましょう」
その言葉には、重みを感じ、ちょっとひるんだが、「よろしくお願いします」と伝え銀行を後にした。
後日、なけなしのお金で、お店を予約した。もちろん個室。
早速、私の信用情報を用意してくるように言われていたので、手渡した。
沈黙のあと、静かにいくつかの質問をしてきたので、正直に答えた。
心臓が、震えていたのを今でも思い出す。緊張していた。これがダメなら、起業できないかもしれないし、そのあとの目処も立っていないし。家族の顔も、よぎった
とても長く感じられた沈黙。
実際は、さほどの時間でもなかったと思うが…。
融資課長の口が開いた。一言だけ、出てきたのは
「借りれますよ」 だった。
「その代わり、私の言う通り、しっかりきっちりと言われたことをできますか？」
私は答えた。 「はい、なんでもやります」と。

これが、起業した時の、強烈な体験。
融資は、無事おりた。

これがあったから、起業に対する思いが人一倍強いし、どうしてもうまく行ってほしいという気持ちも強烈に持っている。
「出店する人のパートナーとして仕事する」という僕の信念は、実はこの体験からきている。

何故、あの時の融資課長は、自分の時間外で、僕という人間に真剣に向き合ってくれたのだろう。貸すにはリスクが高そうな僕に、なぜあんなに厳しく、優しくしてくれたのだろう。

きっと、挑戦する人、チャレンジする人の真剣な姿を放っておけなかったのだろうと 今思っている。

出店する人は、素晴らしいチャレンジをされる人だ。
僕はそう思っている。
「自分で、商品をつくりだし、世の中に売って稼ぐんだ」
その挑戦は、マジで輝いている。
僕は、そういう挑戦する人の「野心」を「夢」をカタチにしていくために、経験をもとに 道を拓き、一緒に伴走者として走る。
それが、僕の仕事だと思っている。

事務所を出す。サロンを出す。飲食店を出す。整骨院を出す。病院を出す…。 なんだっていい
出店するすべての人のチャレンジを、本気で手伝う仕事を、これからもしていこう。
そう思っている。
パートナーとして。